地域の伝承、記録を探しているうちに、この地域で唯一取り上げられたと思われる「まんが日本昔ばなし おさん狐とめで鯛」にたどり着きました。
物語では、比治山に住む“おさん”というきつねが大柿町にやって来て大阪まで船に乗り鯛を売る話。広島のおさんぎつねは、この“おさん”の子孫じゃと言います。
物語のルーツを探しに比治山に行きましたが、収穫は無く。
江波にいた子孫のおさん狐は年齢80歳、500匹の配下を操り、京参りをして伏見に位をもらいに行ったことのあるきつねで、決して人を殺めることはなく、地元では愛される存在だったといいます。
広島電鉄江波車庫前の電停近くに像が立っていました。
大柿町の人に聞いても物語の伝承地域は分からないまま。利平爺さんの故郷、舞台のルーツを探しましたが、時間だけがいたずらに過ぎていきました。
その矢先に、女優の市原悦子(いちはら・えつこ)さんが12日午後1時31分、心不全のため都内の病院で亡くなりました。82歳でした。情景が浮かぶ口調も、もう聞くことができなくなりました。
昔ばなしのあらすじは次のとおり。
むかし、瀬戸内の能美島(のみじま)の大柿(おおがき)という所に、利平爺さんという船頭が住んでおった。利平爺さんは、毎月一回、船に荷物を積んで大阪に運ぶのが仕事じゃった。
ある年の秋のこと、利平爺さんは息子が獲った鯛を一杯積んで、二ヶ月ぶりに船を出したそうな。ところが瀬戸内海を進むうち、船底から妙な音が聞こえてきた。利平爺さんが船底に降りてみると、魚箱の中の鯛の目ん玉が飛び出しておる。
船にはきつねが一匹忍びこんでおって、そのきつねが鯛の目ん玉を吸っておったんじゃ。
目ん玉が飛び出した鯛はわしが売ってきますけえ、どうか許して下さい。」と、あんまり頼むので許してやることにしたそうな。
大阪の港に着くと、おさんは魚屋に化け、目ん玉の飛びだした鯛を担いで街へ売りに出かけた。ところが、「目ん玉が飛び出して気色悪い鯛やなぁ。」「古いのとちがうか?」と、どこに行ってもさっぱり売れんかった。おさんは、ほとほと困ってしまい、きつねたちの総元締めである伏見のお稲荷大明神にお願いすることにした。
すると、お稲荷さんは「目が出ている鯛じゃから、『目出鯛(めでたい)』と言うて売り歩けば良い。コ~ン!」と告げたそうな。
おさんは早速、大阪の街で「めで鯛じゃ、瀬戸内で獲れためで鯛じゃぞ~!」と言って売って歩いた。
すると、目ん玉が飛び出した鯛は高い値段で飛ぶように売れた。おさんは鯛を全部売りつくして、意気揚々と船着き場へ戻った。
利平爺さんはそのお金で孫への土産も買うことができ、大喜びしたんじゃと。
そうして利平爺さんは、比治山に帰りたいと言うおさんを能美島まで送って行ってやったそうな。
広島のおさんぎつねは、この“おさん”の子孫じゃと言うことじゃ。
公式サイト幸か福岡かふくおかひろし email:blogger@fukuoka.am
ありがとうございます。おさんは福山だか新市のあたりの「犬塚」の話にも出てきます。調べるヒマがないので、嬉しかったです。
返信削除日本国中に伝承がありますね。まさかうちの島でもといった状態でした(驚)
削除奈良のヒロです
返信削除西洋の昔話だと、キツネはずる賢いとか悪いイメージが強いようですが
伏見稲荷のおかげか、昔話でもあまり悪役ではないようですね。
自分は、子供の頃から西洋のキツネ感は違和感ありました ^^:
市原悦子さんの訃報は今朝の新聞で知りました。
あの特徴ある優しい声が聴けないのは寂しいですね。
最後になりましたが、今年もよろしくお願いします。
本年もご贔屓に<(_ _)>日本の昔話に登場するキツネは悲しいものまでありますね。風土の違いでしょうか。市原さんの訃報、いずれは来る道ですが、最近は特に訃報を耳にすることが多い気がします。
削除息子が前に江波に住んでる時に道路でお狐様の像を不思議に思ってたんだけど今回わかって良かったです。ありがとうございます。
返信削除いえいえ(笑)えばのあさんぎつねは奥が深いので、調べると楽しいと思います<(_ _)>
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